Hercelot LOG

変な音楽とか

KORG electribeを使ってみた感想

前置き

新しいelecribeを使って思ったことを箇条書きしてみました。

  • とりあえず自分について言うと、PCに向かってじっくりコツコツ打ち込みをするタイプなので、「ハードを同期で連ねてリアルタイムに組んでいく」派からはちょっと遠いんですが、そういう目線での印象と思って聞いてください。
  • ElectribeシリーズはMX-1だけ持ってて、2年くらい単機ライブしてました。他の旧エレクトライブはちょっと触ったかどうかってくらい。
  • 優先度としては楽しく曲が作れればよいです。音色への言及は少なめ。
  • あと「elektronとくらべて~」みたいな比較レビューも詳しくないからできません。
  • わかりやすいとこ(「ポリフォニック対応!」とか「フィルターの種類が色々!」とか)は省略します。

(だいたいSystem Ver. 1.03 時点で書いた記事です)



好きな点

前機種(EMX)と比べ良くなった点、風評で覚悟してたけどさして悪くなかった点。

  • カットオフがエンコーダなのは便利。パートを切り替えつつのフィルター遊びがはかどる。
  • パート別FXが使えると音のシェイプアップが楽しい。「PCMドラム、こんな音がもっとあればナア」と思う頻度は下がった。
  • ドラムにもフィルター掛けられるようになった。リズムの中低域を全部そのまま出すしか無いとドラムの芯でモリモリ攻める「いかにもドラムマシン」な曲になりがちだけど、ベースの帯域を浮かせたり役割分担できるから、たとえば今風にハーフのグルーヴと速い刻みをレイヤーするみたいな曲もやりやすい。
  • StepEditもやりやすい。一度やり方覚えたらブラインドタッチ状態になる。EMXわかってたからか全体的に操作で大きく詰まることはなかった。
  • パラメータのノブ追従が変えられる。制作時はJump、演奏時はValue Scale~など使い分けるなど。
  • 最大小節数が4に減ったから長いブレイクとか出来ないかなーと思ってたけど、パート数が増えてるおかげで大して困らないし、むしろフィルター開いたりミュート解除で手を動かす場面が増えてよい。
  • Songは使わない派なので個人的には別にいい。イベントレコーダーについては最後の方に書いた。
  • 亜鉛ボディの重みとサイズ感が、膝の上に乗せるとしっくりくる。
  • 電池駆動でイヤホン挿せばあとはケーブルなしなので、わりと気軽に手に取れる。


こうなってたら都合がよかった点

基本、「楽器の不便さは奏者が慣れろよ」って思うんだけど、デジタル楽器はツールでもあるからそういうの言われないよね。しかしそれを踏まえつつも気になった点。

  • IFXに、音色作りとしてのリバーブがほしかった。クラップに長いリバーヴかけてパシャーンみたいなやつとか
  • パートサウンドコピーを他のパターンから引っ張りたい。1曲が複数パターンにまたがった時とか、ファクトリープリセットからいい音色をかっぱらいたい時とか。(←追記:Ver. 1.10 Updateでできるようになった)
  • Original Value表示がほしかった。Knob ModeをCatchにすれば解決するんだけど、音色をテキパキ組むんならJumpのほうが速いし悩みどころ。
  • ノートトランスポーズしたい。InstPCMを打ち込んで後からオクターブ下げたい時、サンプルピッチで下げると高域の丸まったローファイな音になるため(それはそれで良い時もあれば悪い時もある)。


なるほどと思った点

  • Shift + PartMuteで全PartOnになる。
  • TriggerおしっぱでPad押すと発音せずに直接パート選べる。
  • Rollがなくなった代わりにIFX:Roller1/32を好きなバランスにしてIFX on/offボタンでこれまでのように出来る。Onのままでツマミだけグイグイいじってもなんか抑揚出るしイイ。808CHを16分で鳴らしてたまに32分混ぜるみたいな例のアレとかね。1/48や1/64は無理かな?
  • Oscによっては、1音で2音分の発音数を食うリッチなやつがある。発音数カウントについてはちゃんと調べたほうがよさそう。
  • Muteは出力音声ではなくステップ入力をミュート。次のStepに来た時点でMuteされてたらその16分は休符になる。しかしたとえば、2拍のロングノートをStepEditで見ると、8つのStepが同じ音程・GATE TIME: TIEの設定で並んでいる。つまりミュート状態でロングノートに突入して途中でMute解除すれば16分グリッドクオンタイズで発音に戻る。逆も然り。
  • AmpEGを切ってる時の挙動がOscによって違う。シンセ・インストはゲート再生、ドラム・SEはワンショット再生。
  • MFXのLimiterやCompressorに2パート大きめにぶちこむとサイドチェインになるやつは健在。ただ結構えぐい入力や圧縮率でもコンプは弱め、リミッターだとキック入れた時アタックが耳に痛い感じになりがちなので、たんに四つ打ちだったらLevelにSawUpBのMod入れたほうがいい。
  • モノのパートで和音鳴らそうとすると、一番高い音が出る(StepEdit画面での音を積む順序は問わないっぽい)。
  • PART COPYとPART SOUND COPYがあるので、1つ空きパートを経由すればPART SEQUENCE COPYが可能(音色を避難させて→パートごとコピペして→音色を戻す)。
  • 上2つを組み合わせると、和音パートに対してトップノートユニゾンするパートが生成できる。例えば、Chordモードで録ったスタブ的リフから、トップノートユニゾンするリードフレーズを作って、後からStepEditで装飾音足したり。ピンポイントで音程変えたり。
  • Gate Arp点灯、Touch Scale消灯時は、XYパッドに指を置きつつKeyboardやChordで音を出すとステップゲートが刻んでくれる。この場合X軸は、アルペジオパターンをハーフ、更に半速、と調整できる。すでに打ち込んでいるシーケンスには影響なし。
  • Gate Arpで最上辺触っても(ゲートタイム最長)レガートしないのかなーと思いきや、Voice AssignがMonoならちゃんとできる。EMXリボン的演奏もばっちり。Polyだとゲート最長でもアタックの位置がわかるのでそこは使い分けで。
  • Global Paramater内のVelocity Curveはパッド押した時の感度調整で、すでに打ち込んだシーケンスにおけるベロシティ-音量カーブを変えるものではない。
  • 最初Ver.1.00で使ってたらパターンまたぎの音切れが気になったけど、1.03ではだいぶ解消してたのですぐアップデートした方がいい。
  • メニュー画面でMFX Typeとかいじった感覚引きずって、パートの音色変えよーっとOscillatorノブじゃなくてValueノブ触っちゃって別パターンに切り替わって、うわセーブしてないのに!って事態に注意する(やった)。(←追記:Ver. 1.17 Updateでロック機能ついた)


謎な点

あとで試します。

  • 同時発音数、ほんとに4ポリで鳴らせば4音というカウントなのか?(4ポリのピアノと他の音色で発音数上限まで鳴らしてた時に、モノベースを入れたら(FXなし)、ピアノが3ポリになる、のではなく、モノになった。)
  • InstPCMとSynthでPitchの扱われ方に差がある?(Synthでは、C4を出すためにC3打ち込みのPitch+48でも音劣化しない?)。
  • グルーヴ機能は謎に包まれてる。揺れだけでなくヴェロシティも変わるので、ひまができたらクリックの16分シーケンスつくって波形吐かせて見てみようね。
  • イベントレコーダーをソング的に使えるのか、はまだ調査中だけど、とにかく「録ったイベントの再生中に、パラメーターいじったりは、できる」。パートを選び、TriggerやKeyboardやXYパッドで鳴らしたり、フィルターいじったり音量変えたり、Oscごと変えたり、できる。逆に出来ないのは、Part MuteやStepJump、パターンチェンジといったシーケンス周り。MFXは音加工するほとんどのタイプは使えるんだけど、Seq ReverseやStepperみたくシーケンスに干渉するのはだめっぽい。あとパート選んだ時のパッドLEDは点滅しなくなるので、基本的にはライヴアクト用のモードではないなというのがわかる。



おわり。

CONCRETE SOUND FOR OUR CHILDHOOD