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変な音楽とか

ADSRの話 おまけ①『音量以外のエンベロープって何』

 
前回
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第2回の最後でこう言いました。

今は気にしないのでほしいのだが、これは"アンプエンベロープ"というものだ。
「音量を変化させる」という意味で"アンプ"と付けている。
逆に言えば、エンベロープは音量だけじゃなく、音色をいろいろ変化させられるのだ。
更に言えば、複雑なシンセになると、指の動きも必要なくなってくる。
しかし今は忘れて!

エンベロープは本来『あるパラメータに、時間変化・動きを与える。(周期的な動きよりも1発向け)』機能で、
これまで話してきたのは、『(音量という)パラメータに、(鍵盤を押したのを合図に)時間変化を与える』話だったのだ。

シンセはほとんど、音量用エンベロープが一つは確保されていて、
さらにもう一つ、フィルター用 あるいはオールマイティーエンベロープ、という構成が多い。

音のアタマだけちょっとピッチ(音の高さ)が下がるようにすれば、なまったようなクセのある音が作れるし、
最も使われるのはローパスフィルターだろう。




ローパスフィルターってのは音の明るさを調整する機能で、
昔ながらのベーシックなシンセ、とくにアナログシンセでは、フィルターこそが音作りの主力になっていた。
(素の音から明るさを減らして暗くしてくので、減算方式とも言う)

イメージするなら、でかい窓が一つある部屋。
お日様が差し込んでる明るい状態から、カーテンを閉めて明るさを調整する。
閉め切ると、真っ暗になるとしよう。
カーテンを手で開いたり閉じたりしてもいいけど、自動で、決まった速さで開け閉めできるのが、エンベロープなのだ。


シンセに話を戻すと、フィルターが閉じきってしまったら、真っ暗なので、なんの音もしない。
アンプエンベロープで音量はしっかり出してても、先にフィルターが閉じちゃったら無音になっちゃうわけ。
そもそも、暗い音の方がちっちゃく聞こえるしね。

つまり、前回の実践編レシピは、フィルターエンベロープに設定しても似たような結果が得られる!
しかも音量がただ変わるだけじゃなくて、明るさがグイグイ変わるので刺激的なサウンドに。

アンプエンベロープは適当にSR型とかで鳴らしやすくしておいて……フィルターエンベロープにはAやDも駆使してアタマのキャラクターを作り込む……すると、いい感じの音ができますよ。それはもう。



実践編で、ADSR型は「ブラスに〜」とか、1shot型で「ショートベースには〜」など言ってますが、
実はいくつかの試聴ファイルでは、すでにフィルターエンベロープを使ってました。ズル。


次回
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