ADSRの話 おまけ②『弾き方の例外』
いままでのエンベロープのリクツはわかったとする。
自分でも作ってみた、指一本で一音鳴らしてみたらいい感じだ!
でも、実際フレーズで弾いたら、なんだかうまく行かない……?
そんな場合に備えて、こまかい例外や設定についても書いておきましょう。
ADSR、ADの途中で指を離したらどうなるの
Releaseについて振り返ってみよう。
Rは余韻の長さ。指を離してから音が消えるまでの時間を設定するんだった。
いままで、Aで立ち上がり→Dで減衰し→Sで持続する…… ここまできてから指を離す仮定できたけど、
「Aで立ち上がってる最中」や「Dで降りてる最中」に指を離したらどうなるの?
答えは単純、その瞬間からRとして音量ゼロへ向かっていく。
実践編でいうピアノ型 なんかはこれを利用している。
ADSR、Sの途中で他の鍵盤を弾いたらどうなるの
モノシンセというものがある。
Monophonic Synthesizer、同時に1音しか出ないシンセのことだ。
それ以外はポリシンセ (Polyphonic)と言って、和音やハーモニーを出すことができる。
(Paraphonicとかもあるがややこしいので置いておく)
ピアノのドを鳴らしている最中に、ファの鍵盤を押しても、それでドの音が変わったり、止まったりするわけじゃなよね。
しかし、ギターの弦1本だけ使って、ドを鳴らしてからファを鳴らそうとしたら、今揺れてる弦を弾き直すことになるから、ドを止めざるを得ない。
モノシンセも、ドとファを同時には鳴らせないんだけど、
例えば、ドを弾いたままファも弾いたらどうなるか?
左は、ファを弾いたら最初からエンベロープをやり直す。
毎回アタマを鳴らせるので、打楽器的な音でオススメ。
さっきのギターの例ならこっちだ。
右は、ドのエンベロープをファが引き継ぐ。
音が繋がるので、ベースやメロディのラインを綺麗に流せるかも。
ポルタメントという機能でスライド奏法をやりたい時はこっちだ。
シンセによって、どっちか片方だったり、あるいは設定で切り替えられたりする。
Single/Multi Trigger, Retrigger, Legato, EG Reset, EG Key Sync みたいな設定がもしあったら切り替え可能かも。
ADSR、Rの途中でふたたび弾いたらどうなるの
さっきの話と似てるけど、やっぱりモノシンセの場合。
Attackっていうのは「音量ゼロからマックスへの立ち上がり」だったけど、
前の音の余韻がまだ残ってるときに、ふたたび弾くと、どこから始まるのか?
これも2パターンある。
左は、次の音を弾き始めたら即、ゼロからスタートする。
どう弾いてもアタマの形が保たれるので、安定感がある。
右は、余韻の途中を引き継ぐようにスタートする。
音のつながりがなめらか。
ハードシンセはどっちかに固定されてることが多い。
とくに、昔のアナログシンセとかはだいたい右だね。
ちなみに、Attack 0だったら、どっちでも同じ結果になる。
Attack長めのパッドなどを弾いてる時に、弾き心地の差が出てくる。
次回、最終回。