Hercelot LOG

変な音楽とか

Ableton-美学校 キックオフmtgのノート②

今回は「クロスフェーダーでミュート処理」です。
比較的実用的な話ですが、使う人は限られるでしょう!



第①回:アルペジエーターの並列応用
第②回:クロスフェーダーでミュート処理
第③回:結合・クロップ・分割
第④回:Alt+Space再生
第⑤回:オートメーションの絶対/相対 +漏れた話

クロスフェーダーでミュート処理

要望

色々楽器を打ち込んだけど、カットアップみたいに、余韻をバッサリ無音にする演出がしたい!

問題

でもオーディオバウンスはまだしたくないし、トラック一つ一つにミュートを書くのはめんどい

操作

クロスフェーダーの機能を使って、好きなトラックを選んでまとめてミュートしよう


……鳴っていた音楽が瞬間的に無音になって別の音が挿入される。
デジタルサウンドって感じでかっこいいことがあります。
しかし楽器は急に止まれないもので、演奏を止めても音の余韻(リリース)が残ったり、リバーブが残ったりします。

なのでトラックそのものをミュートするわけですが……もし「この1拍だけミュート!」なんて操作を何度も沢山のトラックに指示していく、でもセンドトラックもあるし、グループにまとめることもできない位置関係だし、全ての音をミュートしたいわけではないし、オーディオ化まだしたくないし……とまあ超絶面倒くさい状況になりうるわけです。

そこで、セッションビューにいるクロスフェーダーを使って、これをラクに管理しましょうという話です。


クロスフェーダーってどこにあるの

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セッションビュー右下の (x) ボタンを押すと、Masterトラックのところに横棒と上向き三角が出てきます。これがクロスフェーダーです。
これを右クリックから「オートメーションを表示」しておけば、アレンジメントビューから操作することができます。
同時に、各トラックにはA/Bのボタンが出てきています。


DJをしている人にはすぐわかると思いますが(ていうかこれ、AbletonでDJする人向けの機能だと思いますが)
各トラックを「A」か「B」か「どっちでもない」に設定できます。
クロスフェーダーを真ん中より左に動かすと「B」トラックたちの音が小さくなり、
クロスフェーダーを真ん中より右に動かすと「A」トラックたちの音が小さくなります。
「どっちでもない」トラックはクロスフェーダーに関係なく、そのままの音量で出ます。


実際にやってみる

今回は、トラックは基本「どっちでもない」のまま、
まとめてミュートしたいトラックたちは「B」に設定しておきます。

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↑上半分のトラックがメインで鳴らしている音楽で、これをパッと無音にして、代わりに下半分のトラックを差し込む作戦です。
Masterのオートメーションで、Crossfadeを基本「真ん中 (0)」にしておいて、
ミュートしたいところだけ「Bなし=A全開 (50A)」にしてあげればOKです。
これで、オートメーションで書いたところだけ、B設定のトラックがミュートされます。



ちなみに、セッションビューの横フェーダーを右クリックすると、Crossfaderのカーブを選べます。
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DippedからTransitionまでいろいろありますが、上3つは「フェーダーを真ん中にした時、A/B両方の音量が下がっている」クロスフェードなので、今回は下4つの「フェーダーを真ん中にした時、A/B両方がそのままの音量で出ている」ものが良いでしょう。
ミュートしかしないなら Fast Cut 、もっとオートメーションで色々試したい人はTransitionがおすすめです。

実は、オートメーションに対する音量変化には微妙に慣性がついてて、試したところ、厳密に0秒で無音化できるというわけではないです。
だから不快なクリックも発生しなくて使いやすいのですが……
エレクトロニカなどでマジの厳密な0秒ミュートがしたい場合、これではだめですね。




追記)応用:バス・トラックではだめなのか? について
Abletonでも昔からある手法で、「選んだいくつかのトラックをMasterに直接送るのではなく、新規のオーディオトラック1つを経由するようにルーティングする」というテクがあります。用途は、ドラムだけを一箇所に集めてコンプレッサーをかけるなど。Groupでできることを手動でやるイメージです。
Live9以前で2重Groupが作れないときはとてもお世話になりましたし、Live10でも有用な技です。
このやり方なら、いくつかのトラックをまとめてミュートすることは朝飯前、オートメーションもエフェクトもなんでもござれです。これでうまくいくならもちろんOKです。
弱点としては、出力をバスに送ってしまったら、そこから先はもう混ざった音としてしか扱えないところです。たとえばあるGroupの中に入っているトラックをバスに送ると、あとでその音だけGroupに戻してエフェクトを掛けたりとかは出来ません。
Crossfadeは「Mixer Volumeに掛け算する0〜100%の比率」のように効くので、ルーティングには介入せずに、最初からあるVolumeを相対的に触れる、というところがクールなところです。
別の事情でルーティングを引き回すときに、Crossfadeが反映される手前で出力を取り出したかったら、「Post Mixer」でなく「Post FX」で取るとCrossfadeおよびMixer Volumeはかかりません。



つづく

第①回:アルペジエーターの並列応用
第②回:クロスフェーダーでミュート処理
第③回:結合・クロップ・分割
第④回:Alt+Space再生
第⑤回:オートメーションの絶対/相対 +漏れた話

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