Hercelot LOG

変な音楽とか

Ableton-美学校 キックオフmtgのノート①

美学校にて開催された Ableton User Group Bigakko 1969 の第一回講師を務めました。
プロジェクタとマイクで説明させていただきましたが、伝わりにくいところもあったと思うし、2時間もお付き合いいただいたのに「寝たらわすれちゃった!」とかあったら勿体ない気がしますので、ノートとしてもかんたんに補完していこうと思います。

「制作をどう進めるか、判断してくか」の話はブログに残すにはこっ恥ずかしいので、技術的なTipsをおさらいしていきます。
全5回予定で、今回は「アルペジエーターの並列応用」です。

第①回:アルペジエーターの並列応用
第②回:クロスフェーダーでミュート処理
第③回:結合・クロップ・分割
第④回:Alt+Space再生
第⑤回:オートメーションの絶対/相対 +漏れた話


本ブログの 制作 タグにもAbleton系の雑な記事がちょいちょいありますのでお暇な人はどうぞ。
ただ全般的にすごい雑です。


Ableton User Group Bigakko 1969 は 次回6/10より毎月第二日曜に開催されますが、次回以降はユーザー同士の交流会がメインになるようなので、(こういうゴチャゴチャした話が苦手な人も)ぜひ!



アルペジエーターの並列応用

要望

速い金属的な刻みを増やしたい。音程楽器でやればきらびやかになりそう!メロディ的な主張は無くしたい

方針

グロッケンで、コードトーンをなぞるランダムアルペジオを高速で回す

操作

オクターブ分布とポリハーモニーを調整したアルペジエーターを考える


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アルペジエーターとは「長い音ひとつ」を入れると「短い単音の連打」を出してくれるものです。
「長い音をいくつかハーモニーで」入れると「短い単音の連なり」にしてくれるものです。

なので今回の要望は、「和音をアルペジエーターにぶち込んで、グロッケンを自動演奏させたら終わりッ!」ということなのですが、ひと手間加えてより良い感じにしていきます。
具体的には「単音じゃなくて2音ずつ鳴らして、旋律っぽい印象を薄めたい」「ランダムの中に、オクターブ上の音をたまに混ぜ込んで広がりを出したい」ので、「ランダムアルペジエーターを2つ並列で動かして、片方にはオクターブ上を混ぜる設定にする」をやります。


ラックを作成

まずは Arpeggiator を起動。Randomで(お好みで)、速さは1/32(お好みで)。
他の設定は今回はほぼ関係なしです。


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⌘G で "グループ化"。チェーンを⌘Dで "複製" して、同じアルペジエーターを2つ並列にします。
片方のアルペジエーターの手前に、Chord を +12 で入れます。(例えば4和音を入れたら、こっちのアルペジエーターはオクターブ上も含めた8和音として認識するということ)

(ArpeggiatorにはTransposeパラメータがあり、今回はそれをSteps = 2にするだけでも良いのですが、以下の問題によりわかりにくいので使用を避けています:Style = Random時だけ必要なStepsが1多い。他のStyleでは、元Noteを回しきってからTransposed Noteを回し直すという仕様なのでRandom系には向いていない)




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single arp は100%元のオクターブ範囲にいますが、
single +12 arp は50%-50%で元と上に分かれています。
double arp では分布として75%-25%くらいになり、聴いてみたらいい感じになりました。


ランダムの固定

さて、ランダムアルペジエーターの弱点は、回すたびに違う結果が出てしまうことなので、一度「MIDIを録」って固定させちゃいましょう。
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別のMIDIトラックを用意して、MIDIクリップとMIDIエフェクトデバイスをそっちに移します。
元のMIDIトラックの入力タイプを、移し先のトラック名に。チャンネルを"Post FX"にして、赤いアームボタンを点けて、録ります。
(確認のときなど、アームボタンを点けない状態でも鳴るようにしたければ、モニタリングをAutoからInにしておきましょう。)
気に入ったランダムアルペジオになるまで何度か録ったり、気に入ったとこだけ繋げたり、ピンポイントで手編集しましょう。



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完成!


丁寧に書いてみたのでメンドい感じしたと思いますが、慣れればさくさくです。
もっと凝ったアルペジエーターとか沢山あるしね。
ありもののアルペジエーターで、パッとイメージを具体化しましたという話でした。
あとはリバーブかけたり、テンポシンクからちょっとずらしたディレイをかけてモヤ〜っとさせたらいいんじゃないでしょうか。



つづく

第①回:アルペジエーターの並列応用
第②回:クロスフェーダーでミュート処理
第③回:結合・クロップ・分割
第④回:Alt+Space再生
第⑤回:オートメーションの絶対/相対 +漏れた話

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