Hercelot LOG

変な音楽とか

自由研究:もってけ!セーラーふく[グルコサミっくす]とCha Cha/Swinging Flutes 1

もってけ!セーラーふく[グルコサミっくす]』(2007)のサンプリング元ネタをずっと探しててだいたいわかった話をします。


らき☆すたOP『もってけ!セーラーふく』シングル発売から割とすぐ、2007年8月にリリースされた公式Remixes もってけ!セーラーふくRe-Mix001〜7 burning Remixers〜は、アニメから一歩引いていた当時の(今も)僕も即飛びつくような破壊性の高いリミックス、歌メロをなぞり切るものが殆どの公式モノとは一線を画すエディット寄りな曲の集まったCDで喜び買った覚えがある。

5曲目にあたる[グルコサミっくす]は深澤秀行氏によるもので、聴けばわかるんですが歌としての原曲は一切使ってなくて、間奏のガヤをひとりずつにバラして使い、トラックはオリジナルというインタールード的な位置づけ。
レトロな舞踊音楽+フルートにデシメーションしたようなデジタルドラムでとてもカッコイイわけですが流石にサンプリング元ネタがあるだろうと探してみた。


結論から言うと、

これはMellotron Mark IIの内蔵伴奏機能によるもの。
この解説動画でだいぶしっかりした伴奏機能なのが分かる。


Mellotronというとあの白いM400(左図)が有名だけど、いま世間的に知られる「メロトロンの音」はMark IIの音色が多いらしい。
こっちでは左右に鍵盤が別れ、左手でコードルート(メジャーかマイナーがえらべる)。右手でメロディ、或いは数秒のサックスソロフレーズなんかがポン出し出来る。

僕はM400のイメージしかなかったから、伴奏機能付きメロトロンの存在をそもそも知らなくて、メロトロンのソフト音源もいくつか持ってるけどリズムループを収録してるものは無い。
オルガン、カシオトーン、チャカポコドラムマシンとチープな自動伴奏機能に目がないから嬉しいし、巷のチップ音源やPCMの演奏記録じゃなく、長尺のロンプラーとしての波形記録による伴奏が楽しめるのがなんともアツい!


Mark IIに内蔵されている「Cha Cha/Swinging Flutes 1」という音色がどうもグルコサミっくすの正体らしい。
こちら「ビートルズ・コピー宅録 Cuts The Beat!」様の「”Strawberry Fields Forever”制作記」で、ページ内[006]〜[008]を聴いてみると、どんぴしゃである。


用例

自動伴奏を定番ネタ/ライブラリーミュージックの如くサンプルとして使っている曲がいくつかある。
僕が気づくきっかけになったのは、Roger Matura『Radio Nights』(2005)。
これはほぼまんまだが、長調

THE KINKS『Phenomenal Cat』(1968) 、YES『Lightning Strikes』(1999)ではイントロでフルートのフレーズが聞ける。

また、PS3ゲーム『Little Big Planet』にもモロなBGMがある。『Flirty Cha Cha』(2008)

メロトロンを使った曲でおそらく一番有名な The Beatles『Strawberry Fields Forever』(1967)のアウトロの複雑なフルートもこれらしい。
発見&再現した先の「ビートルズ・コピー宅録 Cuts The Beat!」の人すごすぎる。

マイク・パットン作品群のGeneral Patton Vs. The X-Ecutioners『Precision Guided Needle-Dropping And Larynx Munitions (Pgndlm)』でも発見。
(動画11:31〜)

イールズの曲にも、曲のリズムを全く無視する形で挿入されている。映画"HOLES"『Mighty Fine Blues』(2003)
(動画1:44〜)

Bon Jovi『One Wild Night』(2000)のアルバムバージョンでも導入で使われている(情報提供:@euchaeta)


では今、"Cha Cha/Swinging Flutes 1"を単独で聴きたかったら、

どうすればよいのだろう?

  • 現行メロトロン(デジタル)M4000D拡張カードに入っているようだ。本体24.6万+拡張5.5万円。ヒエーッ
  • 本家の出したAKAIサンプラー用のCDROMにも収録されてるようだけど入手がむずそう
  • ハードウェアManikin MemotronはRhythm系は入って無さそうだ……
  • 大概のソフトウェアでは、単音が鍵盤に並んだマルチサンプルものでRhythmやPhraseが収録されているものはほぼ無い。フレーズになると著作権が絡んでくるから敷居高いよね……UVIのMelloPremierのMellotron、どちらも単音。
  • IKのSampleTronは「コンボ演奏のグルーブもたっぷりと収録」と豪語するだけあってOptiganやTalentmakerといった楽器のリズムループを収録している。欲しい! しかしMark IIのRhythmは非収録(情報提供:@euchaeta)
  • GForce M-Tron Proもあやしい。Rhythmが収録されているようだが内容が不明。拡張の"OptiTron"を買うとOptiganのRhythmが使えるようだ。

 


最終的に僕がやりたいのは、

Mellotron Mark II 実機の伴奏機能を把握し、
→Cha Cha/Swinging Flutes 1にはどんな音が入っているのか確認し、
→[グルコサミっくす]はどこまでがMellotronの素材でどこが別素材なのか構造を明らかにして、
→それをわかった上で聴くことでより楽しい気持ちになりたい。


それとは別に、レトロで不自由なものが好きなので、当時の他の自動伴奏楽器もちょこちょこ調べてく。
今回、「サンプルベースの伴奏機能はアツい」のが分かったのは大きな収穫。
あわよくばサンプルを手に入れて自分でも使いた〜い、モンドトラック作りた〜い


余談のコーナー


最初のほうの解説動画はMiii『Madness Dinasour Core』の元ネタ。


Little Big Planetの音楽を手掛けるDaniel Pembertonはめっっっっちゃくちゃいい!

ひねくれサンプリングモンド、マヌケトロニカだけでなく映画音楽クラシックもできる実力派。


Optiganは後発の廉価メロトロンっぽい出で立ちで、テープの代わりに全鍵分のデータが乗った光学ディスクを使う。
比較的オモチャオルガン寄りだけど、音色の交換が楽だったり、ディスク自作派も居るみたい。

Optiganally YoursというグループがOptiganやTalentmakerを中心とした曲を出している。

国内盤はSTUBBIE Recordsから出ていたというのもあって、↑の曲にはPlus-Tech Squeeze Box remixが存在する。



とりあえず終わり。

CONCRETE SOUND FOR OUR CHILDHOOD