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Hercelot LOG

変な音楽とか

Jan 2014 - May 2015 マイベスト

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追記:この記事で紹介した音楽を中心にDJ MIXを作成しました。////


毎年末、その一年のベスト音楽を記事にしたりしてたんですが、
2014年末は諸般の事情で公開の時宜を逃し……
いっそ、2014年"度"として体裁を整えて出すわけです。それでも遅いけど。

2013年版と同じく、2種類書きました。(こちらもいい音楽ばかり)

  • 2014年リリースで素敵だった10選
  • 2014年にHercelotが聴いて大感動した10選

どちらも数字が振ってあるけど基本同列の10選です。


2014年リリースの素敵な10選

  1. Clap! Clap! - Tayi Bebba
  2. WD4D - Escape From Cloud City
  3. Miii - Violent Kiss
  4. Guy Akimoto - BaeBae EP
  5. The Soft Greens - Variastrix
  6. Mr. Bill - IRL
  7. Daisuke Tanabe - Floating Underwater
  8. _yi - IDEO-POP!
  9. Middle Milk - Leranti
  10. 道重さゆみ - シャバダバ ドゥ~

1. Clap! Clap! - Tayi Bebba

Web系のSkweee/Beatsレーベルで活躍、変名義やユニットもわんさかあるDigi G’Alessioが一番ブチアゲた名義がClap! Clap!。昨年のGwidingwi Dema EPも大興奮で聴いてたけど、2014年はフルアルバムを出してくれた。これはかなり売れもしたっぽいしみんな納得なのでは……粗暴なリズムマシンとミニマルな展開といったテクノのエグい部分をエキゾ・アフロビートの複雑なグルーヴに注入した「ワケわからないまま踊れすぎる」、シリアスなんだけど愉快なやつ。アフロ一色な割には流行の感じのビートも使ってて飽きずに聴けるんだけど、中でも完全にWonkyと化してる”Universal Modulator (kujhmak)”は「ウオオ~DIGI!!!これだよ!!!!」と諸手が上がる。


2. WD4D - Escape From Cloud City

JusMoniをフィーチャーした前作の歌モノスタイルから、今回はほぼインストということで4つ打ちの落ち着いたテック・ソウルに……しかし!ゲートの効いたデュレーション管理とポリリズミックな構成で、粘着テープの上で踊るかのような地味な貼り付きが背骨を懐柔してくれる。コード進行もなんか煮え切らないままにグダグダループするのがソソる!一番好きなのは#5。
上記Clap! Clap!みたいなアフロビートも、変則ブレイクコアも、或いは3年前のLAビートやスクウィーも、音楽が身体性より先行して踊る人をしばいてくる感じがどうにも好き。プログレっぽいよりループっぽい方が「規則性はあるんだよほら。ちゃんと従って。」って調教されてるっぽいよね。


3. Miii - Violent Kiss

2014は以前にも増してMiiiの曲を聴いていた一年だった!ソロ作、WDMS、コンピ参加など数えていくとものすごい数と質のリリースがあった。
その中で単曲リリースだったViolent Kissを選んだのは、2014年自分がハマってたもの(この記事の後半で紹介する)とタイミング合ってる内容だったとか、実際にプロジェクトファイル見せてもらって理解が進んだとか、理由はいろいろあるんだけど、これが素晴らしいことについてはちょっと、日常的に語りすぎてしまって……。流行りだけ見ていたら絶対出てこなかった曲だとか!あと長年のファンだからこそわかる、その、かれの外に向いた武器たるブレイクビーツやベースの攻撃力と、一方でかれの内側にずっとあるポスト・ポスト・ロック的な温いエモーション、その両方が喰い合うこと無く盛られてるトラックだと、思うんですよねえぇ。


4. Guy Akimoto - BaeBae EP

任天堂感覚のメロディフレーズの掛け合いを綺麗な鋸波で奏でて、ボーカルの代わりにピッチアップしたボイスカットアップがメインを取り、丸みと弾性のあるドラムマシンが躁な感じでテキパキはしゃぎ、抜きも増しも激しく切り替わるドラマチックな展開がガンガン来る」みたいなやつ、つまり2013に年Wave RacerやCosmo's Midnight的コーダルでハイブリッドな音楽が流行った中でPC Music、Bo en、Tomgggの衝撃から生まれたカワイイハイファイポップの萌芽が、VGM/Chiptune本業な人々とも混ざり合って、2014年一気にあちこちで花咲いたような印象。バブルガムベースという名前は定着せず、チルトラップやフューチャーベースもズレてる気がするけどなんて言えばいいんだろうね?(PUSHERの言うNeonっての好きだったけどあれはあれで別という気もする)
このへんは眺める限り良曲揃いだし、僕以外に詳しい人いっぱいいるので省略いたしますとして、個人的に一番聞いたのがSTHWSTのGuy Akimoto。激キャッチーな表題曲、モッタリと重心の低いCommunicationの2曲に喰らった。アーティストの素性とかは全く知らないので何も言えませんが。


5. The Soft Greens - Variastrix

「躁」を突き詰めたときの完成形のようなアルバム。聴いているとMaxo、Squarepusher、Dorian Concept、Max Tundra、Xploding PlastiX、Sk’p、色んな名前がさっと浮かんでくるけども唯一無二の高速プログレポップ。速いビートにテクニカルな要素が大量に詰まっていて、一個一個に着目してたら溺れてしまいそうな情報の洪水で、理解を諦めるギリギリのラインの快感みたいなもんがある。それでいて破壊衝動は薄く、美しく前後繋がっていくので、これは……一曲作るのに何ヶ月もかかりそう(でも前作から1年しか経ってないんだよね)。全曲いいけど、上記Future Bass系の音が好きなら#4”bobby barred”や、僕の大好きなシンセYamaha HS200(KontaktにもHandySoundって名前で最初から入ってる)をあしらったフュージョンドリルンの#8”wally vs. chudz!”なんかが特にイイ。
しかしなんだ、鬼才Culprateの新作には”Acid Rain”があったし、Rusko’s ThemeSquarepusher’s Themeじゃねえか!と言われたし、フュージョンドリルンは絶対に時代キてほしい。制作難度高すぎて流行らないとは思うけど……


6. Mr. Bill - IRL

新譜”Settling For Mediocrity”も発売されたけど、より長く聴いたこっちを。Brostepの「ワブル見本市」なアイデア勝負感はすごい好きだったんだけど、140ハーフのロックっぽい縦ノリがニガテで、そこへいくとGlitch hopはスウィンギンで横ノリ多いからイケル!Mr.Billはとにかく16分のチャカチャカが常に心地よく鳴ってくれてて、ボイスカットアップも止まないし、フィルにカラッカラの生ドラムが入ったり、ドライなリズム隊の身体性が抜群。圧も高すぎない。そう考えるとクリックファンクとかに近いし、マイクロサンプリング感もあるし、Akufen好きはハマりそうだよね。
好きなのは#2と#8


7. Daisuke Tanabe - Floating Underwater

RBMA周りで活躍されてたせいか、あとKidsukeをみていたせいか、”before I forget”ぶりのアルバムということには気づかなかった。4年ぶりの2nd。とにかく色んな金属音のするエレクトロニカ、とざっくり言うだけでもめっちゃワクワクする。非力なものがバラエティ豊かに適切に配置される、ってのはリズムの根源的な楽しみの1つを心ゆくまで堪能できるスタイルだと思う。いかにもClockworkなネジの音などと、ピッチアップしたJungleのブレイクビーツが同等に扱われてるのも最高に面白い。高域でオモシロいことをやってくれるから低域はシンプルに楽しむことができるし、あと普通の音楽中ではなかなか味わいづらい金属音の中低域に耳が行くのもうれしい。いいことずくめかよ!


8. _yi - IDEO-POP!

カットアップエレクトロポップ世界王者堂々の凱旋!ぐらい吹かしてもいいくらい圧倒的な盤だった!マイクロサンプリングも、コード進行も、音圧も、「カッチョイイ要素」が限界まで詰め込まれてる。”my culture”で大乱闘スマッシュブラザーズのホームランバットの音とともに脳味噌ぶっ飛ばされた人は僕だけじゃないでしょ……ミドルテンポものの破壊力だけでなく、前作の”1987”をブラッシュアップしたような遅めの曲”so right”がキラーチューン。スウィングしてるのに定ベロシティなキックの上の男声ボーカルにうっとりしてからの、アコーディオンソロのブレイクで号泣するカンペキな構成。


9. Middle Milk - Leranti

6曲目の”Birds”についてワイパさんが「ハスロ感ある」とtweetしてたのに飛びついてみたら完全にドツボのサーカスポップ・ハウスだったので以来ずっと聴いてる。フォークギター、口笛とスキャットのメロディ、ラグっぽいピアノ、マリンバといった陽気な上モノ隊に、エレクトロの骨太な四つ打ちが合わさって……Doopのアルバムを初めて聴いた時の「こんな底抜けに明るいハウスがあっていいのか!」って感想が再来した。実はBirdsはシングルカットで2013年に出てるので厳密には2014年の曲じゃないんだけどね。
他の曲はエレクトロハウスの軟派なやつ(出音はしっかりしてる)で、ブレイクよりドロップ重視なのはドイツの血なのかなーとか思うけど、とりあえずBirds単曲推しということで。


10. 道重さゆみ - シャバダバ ドゥ~

この曲を最初に聴いた時のツイートを以下にコピペしてレビューとします。

「待ってくれこれはヤバすぎる……何だこの曲……ウソだろ……」
「完全に脳味噌ぶっ飛んだ」
「求めてた理想が完璧な状態で目の前にある。。。前から言ってた「初期capsuleとかContemodeとかウサギチャンズとかのネオ渋谷系周辺キュートロリポップの最新フォーム」がまさにこれ」
「ワブルパート余計といえば余計なんだけどやり過ぎてないしエレクトロスウィングの系譜として聴けばすんなり来るし、むしろフレンチポップの無難な翻訳に収束しない異物感のラインで留まってて完全に素晴らしい 1人スタンディングオベーションだ」
「サビのツービートも激熱い最高スネア選びも最高」
「1分15秒ンとこのドロップで絶叫しかねない」
~数日後~
「"シャバダバ ドゥ~"、初聴時の編曲への大興奮を越えて歌詞を聴く余裕が出てきたけど、アイドルを卒業する人にこんな回想録みたいなダイレクトな言葉を衝かせるのはヘビィで、この人がこのタイミングでしか出し得ない曲なんだろうという感想がある。プロデュースサイドからの祝福というか。」
「やっぱこれの1'15"で裏ノリから表に切り替わるとこのフィル凄まじすぎる」
「裏ノリっていうかイントロとかAメロ前半のジャジーなとこは8分のランニングベースで刻みっぽいノリで、そこからAメロ後半は表しかほぼ無いんだけどシンセのうねりでゆったりとした間のグルーブがあって、その二者を繋ぐフィルが最低限の要素でめちゃくちゃグルーヴィに出来てる」
「Aメロからボイススタッターを介してのBメロは逆に裏しかほぼ無くてストップ感あって、909スネアの4つ打ち来るけどそこまでビルドアップしなくてこのままサビ入るの?と思うと1小節延長して4拍目裏の生スネアで2ビートのサビに入るっていう」
「スネアに「強い」音を配してるから裏のみでスウィンギンに乗る2ビートになってるけどふんだんにシンコペーションしてくるから盛り上がりも十分で、何がいいたいって言うと1曲のうちで異なるグルーヴが4種類使われててしかも全部システムしてる最高のやつだよって話」





個人的に巡り逢った素晴らしい10選

スゲエんだよ全部マジ。聴いてってくれよ。

  1. Darth Vegas - Brainwashing For Dirty Minds
  2. Xploding Plastix - Amateur Girlfriends Go Proskirt Agents
  3. The End. - The Dangerous Class
  4. Igorrr - Hallelujah
  5. Messer Fur Frau Muller - Russkie Wig-Out!
  6. Pascal Ayerbe - La tête en l’air
  7. OMFO - We Are The Shepherds
  8. tucker - Tucker Plays 19 Postcards
  9. 大野方栄 - Masae A La Mode
  10. Dionysos - Jack Et La Mécanique Du Cœur

1. Darth Vegas - Brainwashing For Dirty Minds

2012年。
ダースベイダー+ラスベガスなふざけきった名前のバンドだけど、こんなに素晴らしい、素晴らしい音楽が実在したのか!という喜びで、見つけた夜は眠れなかった。様々なジャンルの美味しくどぎついところをいいとこ取りした雑食音楽で脳の理解が追いつかない、最高の「アンバランスの構築美」が楽しめる。Progressive Jazzを基調にCha ChaやSka、WaltzにRagtimeにGypsy Folkまで混ぜ込まれた音楽性から、突然数拍だけ挿入されるMetal要素やカートゥーンSEのカットアップ、映画音楽のように壮大なオーケストレーションにうっとりしてからミョンミョンしたマヌケ・シンセリフに落とされ、気がつけばビートルズばりの美麗コーラスワークでシンガロング。ホーンテッド・マンションで魍魎にからかわれ続けてるかのような喧しく・ややこしく・馬鹿げたアイデアの塊で、タイトル通りBrain-washingできる。
ちなみにこれは2nd Albumで、1stも素晴らしいのだけどこっちを選んだ理由は、最終曲”Brainwashing Computer Medley”の存在にある。チップチューンアレンジ・メドレーでアルバム全曲を振り返ることができるんだけど、アルバム一周目でこのメドレーに辿り着いた時、ほとんどの曲を思い出すことができたのだ!どぎつい編曲力のおかげでコイツラは面白いんだと最初は思っていたが、チップチューンアレンジで情報量を削がれてもキャッチー、つまり作曲力もハチャメチャに高いことに気づいて唸らされてしまった。そこまで含めて過剰装飾サウンドの大推薦盤。大好きだ!!


2. Xploding Plastix - Amateur Girlfriends Go Proskirt Agents

2001年。
Joseph Nothingの”Deadland after Dreamland”で客演している彼らについてちゃんと見てみよう、と思うまで何年ラグがあったのかわからないが、どうしてもっと早く調べなかったんだ! Cuban JazzやSalsaをIDM解釈して、スパイ映画のかっこいいシーンのようなブラスとウッドベースの付け合せに生マーチスネアがBreakcoreばりのドラムプログラミングで刻みまくるといったマアマア僕が聴くためにあるようなものである。お洒落よりちょっと下世話、コード進行もベタベタの濃い味、クールぶれないホット、ルーズとタイトのアンビバレンス、ってなもん。
生色の強いこの盤だけでなく、シンセとグリッチ使いがROMZっぽい”The Donca Matic Singalongs”、JosephのRemix返しが収録の”The Benevolent Volume Lurkings EP”、金属音の多用でスマートな雰囲気の”Treated Timber Resists Rot”、長編志向の”Devious Dan EP”、どれもこれも良いのでほんとは全部オススメしたい。


3. The End. - The Dangerous Class

2009年。
ROMZのSummer Tracksに参加してたり、Murder ChannelコンピにはMelt BananaのRemixがあったりとよく目にはしていたけど、CDをしっかり聴いたのは去年が初。Electro SkaやSurf Rock、Mondo FunkのネタにBreakcoreのビート…というには鳴りが悪いけど速くてラウドで時にグリッチーなブレイクビーツが合わさる異色アーティスト。中でも4thにあたるこの盤はもうほとんどテクニカルな部分がなくなって、New Wave要素の強いSurf RockのネタとSka Punkなノリの、趣味の良さ(悪さ?)だけが純粋に味わえるアホ作品。ブラックコメディ感が強い。


4. Igorrr - Hallelujah

2012年。
Death MetalとBaroqueとBreakcore異種格闘技大乱闘Igorrr先生の4th Album。重くて強いMetalと速くて強いBreakcoreの食べ合わせは元々良いし、MetalとEuro Trad.の土臭い美しさも相性良いけど、じゃあ全部やれって言われてやれるほどの作編曲力はまずなくて。Igorrrはその路線でずっと良作を作ってきたしずっと好きなんだけど今作はね、"Vegetable Soup"とかいう飛び抜けてヤバいトラックがありましてね……「いつものIgorrr節でしかもブラッシュアップされてる」にとどまらない強さがこの一曲に全部出てる。もうなんもできんよ。
2014年はNHKにもインタビュー動画出てたし、Ruby My Dearとの共作もナイスでした。


5. Messer Fur Frau Muller - Russkie Wig-Out!

2011年。
副題には『Demented Surf / Electro / Exotica From Behind The Iron Curtain』とついております。サーフとエキゾに電子音楽……つまりモンドです。
Messer Fur Frau MullerはOleg KostrowとOleg Gitarkin(Messer Chups)のユニットで、本盤は2人の関連バンド・名義などのベストみたいな位置づけ。B級サスペンス映画の金切り声から始まり、キャバレーのようなサックスとビブラフォン、ブリブリのシンセベース、ハワイアンムード音楽が挿入されて、雑なブレイクビーツジャン・ジャック・ペリーのサンプリング、人が喋ると音楽が中断する。コラージュってちょっとやりすぎるとすぐエクスペリメンタルに行ってしまうけどちゃんと大衆音楽の枠内で攻めてるバランス感がいいです。Wagon Christ / PlugとJean Jacques Perreyの間に小西康陽のインストを挿入したみたいな。


6. Pascal Ayerbe - La tête en l’air

2007年。
去年はNovel Cell PoemのおかげでMale InstrumentyやKlimpereiの初来日にも行けたし、僕の去年一番聴かれた曲はジムノペディトイポップカバーだったり、個人的にトイミュージックアツかった。
で、Pascal Ayerbeは多様なトイミュージック・アーティストの中でも一番好きで(同じPascalでもComeladeより)、なんとなく「ぽろぽろ」してるのがいい。あんまりレガートな音色を使わないで、ディケイの早い音が色々連なって、ときどき途切れて、曲になってるみたいな。一曲での使用楽器点数が多いことやソロプロジェクトであること、そして録音がわりとクリア・ドライで、ローファイやリヴァーブに頼った感じじゃないこともその要因だと思う。ソリッドでコンクリート!ホップ!(ポップというより)。めっちゃ参考にしてます。あとアコギは弾けるようになるべきだと強く思った……


7. OMFO - We Are The Shepherds

2006年。
デジタルポルカを求めていくと大体New Wave要素のあるGypsy Folkにぶつかるんだけどそういう欲求と、Atom™ワークスdigの交差点になったのがこのO.M.F.O. (Our Man From Odyssey)。けっこうまじめにバルカン+ダブとかやってるウクライナのバンドだけど共作にアトムを入れた結果、足元のおぼつかないフヨフヨ、ピヨピヨな面白盤になってこれは美味しい!
"Jok De Doi"では軽薄なブレイクビーツにツェンバロンの速いシーケンスが絡むウォーミングアップからのアツいアコーディオンソロでブチアガるし、ロシアンニューウェーヴのアホ高速ノリにボコーダーが愉快に乗ってから半速展開で重低音が飛んでくる"Drunk'n'Space"など、アイデアフルなクセの強さと演奏技術が一緒に楽しめる。
ずっとそういう躁サウンドじゃなくて、合間合間にのんびりしたダブフォークもあるので二度お得。


8. tucker - Tucker Plays 19 Postcards

2011年。
1st、2ndからがらっと作風が変わり(というか、超絶鍵盤弾きとしてのかれしか見えてなかったからなんだけど)、この良さがわかるまで大分遠回りしちゃった。アジア各地の光景を切り取ってきたような19のトラックを旅先からのPostcardに見立てる…トレイラー動画を見れば言わんとしてることはわかると思うけど。
ほんとうに古いライブラリーミュージックのようなローファイなあたたかい質感と音色選びに、ただただ日常を切り出してきたようなフラットなノリの曲もあれば、泣きメロってんじゃないけど素朴すぎて心が郷愁に染まってきちゃうような素敵な小さいメロディがあったり、そういうのが並列に並べられてるのがより景色や日常っぽくておちつく。人気曲は#4"Yellow Rice Flower"(↑のライヴバージョンが本当に本当にいい!)でカバーとかもあるみたいだけど、このCDで一番推したいのは#11"Cheap Menu"!

なんてことないことで心が動きたい


9. 大野方栄 - Masae A La Mode

1983年。
アナログリッピングを知人から戴きホクホクしていたらその年のうちにCD再販30年越しの初CD化が決定するというね!
ジャズやボッサのクラシックスをヴォーカリゼーションしてるので、本来楽器で演る細かく速いパッセージまで歌詞をあてて歯切れよく歌われるさまがとても心地よい。ただテクニカルなだけじゃなく表情がつけられているのも80'sテクノ歌謡感があって素敵。とくに『恋人よ我に帰れ』カバーの"Eccentric Person, Come Back To Me"は超絶です。
その技巧に負けないオケを演ってるのはカシオペア。そんで"Take Me"や"Long Term Memory"のヴォーカル・ヴァージョンまで聴けてしまうわけ。お得〜


10. Dionysos - Jack Et La Mécanique Du Cœur

2014年。
フランスのゴシック・ロック/ポップのバンドDionysosが2007年に出したアルバムのリイシュー。ボーカルのマティアスは小説家でもあり、当時出したファンタジー小説『機械仕掛けの心臓』のサウンドトラックとして展開とかなぞって作られている。小説についてはこちらのblogなどが明るくてお薦めです。
で!2014年その小説がアニメーション映画化ということで、"語り"付きのインタールードとかも加えて本格的にOSTになってしまったのがこちらということ。つまり背景がすでにどっぷりとあるもので世界観に浸れるんだけどその音楽手法がアブストラクトにかまけることなく、ちょっとやりすぎなくらい具体装飾音を使うのが最高。ねじ巻きや鳩時計。そんでウクレレとオルゴール、トイピアノにクワイア。ちゃくちゃくと影響うけている



個人的な所感2014

ぶっちゃけ新譜を掘らなくなった!SoundcloudのTLもほぼ見なくなった。ほんとに大事なリリースはTwitterで情報入ってくるしね。過去の音楽で自分好みのものがどこに眠ってるのかわかってきたので「今後に期待」する必要がなくなってきた。
勿論、最新の音楽がダメなわけはなく、それどころか、深くdigらなくてもあちこちに面白音楽があってよかった。流行と自分の趣味が合致してるとかなりお得ですね。
リスナーとして非常に楽しい年だった……。今年もこの波が続きますように。

2014年として見ると大御所のリリースラッシュもあり、Dorian Concept、Aphex TwinFlying LotusJimmy EdgarVenetian Snares。Cylobも復活、われらがLuke Vibertは本名義からAmen Andrews復活に加えLuke Warmも。Akufenがサンクラ大充実させたのも良かった。


後編で書いた「自分が出会ったベスト10」はさらっと聴いてもらえばわかると思うんだけど半数くらいサウンドイメージが固まってて、軽妙でひねくれたブラックユーモアとか、或いはダークファンタジーでも魔女の薦める林檎の胡散臭さだとか、とにかく意地悪が楽しくて仕方ないホーンテッドマンションの騒がしさとか、どうせ俺ら既に死んでるんだし気楽に行こうだとか、そういう世界観に通じるような俗っぽい、ざわざわした表現がおもしろかった。

情報量過多・装飾過多は、メッセージやコアをうやむやにできるのがいいんだよね。構成要素の優先度をフラットに(どうでもいいかんじに)できる。
たとえば、遊園地のお化け屋敷って入って出てきても具体的には何も得てなくて、RPGでダンジョンに入って宝物を手に入れた!というのとは違う。それでもおもしろかったねとなるのがアミューズメントだし、逆にお化け屋敷の中で1万円拾っちゃったら出し物はどうでもよくなりそうだよね。

"そういうの"が好きだし"そういうの"の見つけ方がわかってきたので今年もガンガン掘っていきます。

おわり。

CONCRETE SOUND FOR OUR CHILDHOOD